ジュニアサッカー中に膝の靭帯損傷が疑われるときは、すぐにプレーを中止し、膝を動かさずに保護して、できるだけ早く整形外科を受診してください。「ブチッ」「ポキッ」という感覚、急な腫れ、膝崩れ、体重をかけられない状態がある場合は、前十字靭帯などの損傷だけでなく、骨や成長軟骨のけがも考えます。
まず行う初期対応
初期対応の目的は、損傷を広げず、痛みや腫れを抑えながら安全に医療機関へつなぐことです。次の順番で対応します。
- プレーを中止する。痛みを我慢して走ったり、膝の状態を確かめるためにジャンプしたりしないでください。
- 膝を楽な位置で安静にする。無理に伸ばしたり曲げたりせず、本人が楽な角度を保ちます。歩けない場合は、肩を貸して無理に移動させず、周囲の大人が支えてください。
- 布で包んだ保冷材などで冷やす。膝に直接当てず、短時間ずつ冷やします。冷やして皮膚が白くなる、強く痛む、しびれる場合はすぐに中止してください。
- 必要に応じて軽く圧迫する。包帯やサポーターを使う場合も、きつく締めすぎないでください。足先のしびれ、冷たさ、色の変化が出たら外します。
- 膝を心臓より少し高くして休ませる。腫れが強いときは、クッションなどで脚全体を支えます。
- 保護者へ連絡し、受診先を手配する。けがをした時刻、膝の向き、音や感覚、腫れが出た時間、歩けるかどうかを伝えると診察に役立ちます。
靭帯損傷が疑われる症状
次の症状があるほど、靭帯や半月板などの内部損傷を疑って医療機関で確認する必要があります。ただし、症状だけで損傷部位や重症度を確定することはできません。
- 方向転換や着地の際に、膝の中で「ブチッ」「ポキッ」と感じた
- けがの直後から膝が急に腫れてきた
- 膝が抜ける、ガクッとする、力が入らない
- 膝を最後まで伸ばせない、または曲げられない
- 体重をかけて歩けない
- 膝の内側・外側・後ろ側に強い痛みがある
- 数時間たっても痛みや腫れが強い
特に、膝が急に大きく腫れた、方向転換の直後に不安定になったという場合は、前十字靭帯損傷などを含めて早めの評価が必要です。成長期の子どもでは、靭帯だけでなく骨や成長軟骨のけがが隠れていることもあります。
すぐに救急受診を考える状態
次のような場合は、通常の受診を待たず、救急相談や救急外来の利用を検討してください。明らかな変形や強い出血がある場合は、膝を戻そうとせず、日本では119番への通報を検討します。
- 膝の形が明らかに変わっている
- 膝が外れたように見える、または自分で戻った後も強い痛みがある
- 足先が白い・紫色、冷たい、しびれる
- 強い痛みでまったく動かせない
- 大きな傷や止まりにくい出血がある
- 転倒や接触で強く打ち、膝以外にも頭・首・背中の症状がある
救急か迷うときは、地域の救急相談窓口や医療機関に電話し、年齢、けがをした状況、腫れ、歩行の可否を伝えて指示を受けてください。
してはいけないこと
初期には、次の行動を避けてください。
- 痛みを我慢して練習や試合を続ける
- 膝を無理に伸ばす、曲げる、ひねる
- 膝が動くかを繰り返し試す
- 強くもむ、マッサージする
- 熱い風呂や温める行為を長時間行う
- 自己判断でテーピングを強く巻く
- 市販薬を年齢や体重を確認せずに飲ませる
痛み止めを使う場合は、子どもの年齢・体重に合った用量を添付文書で確認し、分からなければ保護者が薬剤師や医師に相談してください。薬で痛みが軽くなっても、運動を再開してよいという意味ではありません。
受診までに確認しておくこと
受診時には、次の内容を整理しておくと診断の手がかりになります。
- けがをした時刻と、接触・着地・方向転換などの状況
- 膝から音や感覚があったか
- 腫れがいつから出たか
- 歩けるか、膝を伸ばせるか
- 痛む場所と、膝が抜ける感じがあるか
- 行った応急処置と、使用した薬があるか
膝の靭帯損傷は、診察に加えて必要に応じて画像検査などで確認します。外見上の腫れが少なくても、靭帯や半月板、成長期の骨の損傷を否定できるとは限りません。
練習や試合に戻る判断
痛みや腫れが残ったまま、自己判断で復帰してはいけません。歩けるようになっただけでは、走る・止まる・方向を変える動作に耐えられる状態とは限らないためです。
復帰時期は、損傷の種類や程度、診察結果、治療内容によって変わります。医師や理学療法士から運動再開の許可と段階的なメニューを受け、腫れ、痛み、膝崩れがないことを確認しながら進めます。
初期対応は、プレー中止、膝の保護、冷却、無理な移動を避けること、早めの整形外科受診です。変形、循環障害、強い痛み、歩行不能がある場合は、救急対応を優先してください。







