ジュニアサッカーで脳震盪が疑われる症状と対応は?

ジュニアサッカーで脳震盪が疑われる症状と対応は?

ジュニアサッカーで脳震盪(のうしんとう)が疑われるときは、本人が「大丈夫」と言っても直ちにプレーから外し、その日の再出場をさせないことが基本です。意識を失わなくても脳震盪は起こります。症状が遅れて出ることもあるため、指導者や保護者が観察し、必要に応じて医療機関を受診してください。

ジュニアサッカーで見られる脳震盪の症状

脳震盪では、頭を強く打った場合だけでなく、体への衝撃で頭が急に揺さぶられた場合にも症状が出ます。次のような変化があれば、脳震盪を疑ってプレーを中止します。

  • 頭痛、頭が重い、頭を締め付けられる感じ
  • めまい、ふらつき、立っているのが難しい
  • 吐き気、嘔吐
  • 目がかすむ、二重に見える、光がまぶしい
  • 音に敏感になる、耳鳴りがする
  • ぼんやりする、反応が遅い、集中できない
  • 直前のプレーや相手選手の名前を思い出せない
  • 受け答えが不自然、同じ質問を何度もする
  • 眠気が強い、普段より irritability(いら立ち)や不機嫌が目立つ
  • 手足のしびれ、力が入りにくい
  • 意識を失う、けいれんする

意識消失がないことや、本人が歩けることだけで脳震盪を否定することはできません。プレー中は、本人の訴えだけでなく、普段と違う行動や受け答えにも注意します。

脳震盪が疑われたときの対応

対応の要点は、プレーを止める、ひとりにしない、危険な症状がないか確認する、医療機関につなぐことです。次の順番で対応してください。

  1. すぐにプレーから外す。「少し休めば大丈夫」と考えて試合や練習に戻してはいけません。脳震盪の疑いがある選手は、その日のうちに再出場させないでください。
  2. 安全な場所で安静にさせる。本人をひとりにせず、座るか横になってもらいます。首や背中の痛みがある、強い衝撃を受けた、動かすと痛がる場合は、無理に起こしたり歩かせたりしません。
  3. 意識や受け答えを確認する。名前、年齢、場所、起きたことなどを尋ね、普段どおりに答えられるか確認します。何度も質問して疲れさせたり、記憶を試すためにプレーへ戻したりしないでください。
  4. 保護者へ連絡し、医療機関への相談・受診を手配する。症状が軽く見えても、頭部外傷を評価できる医療機関へ相談してください。受診までの経過や、頭を打った時刻、衝撃の状況、出た症状を記録しておくと役立ちます。
  5. 帰宅後もひとりにしない。症状が悪化していないか、受診先の指示に従って観察します。保護者が経過を見られない場合は、指導者だけで帰宅させないでください。

意識がない場合は、呼吸を確認し、救急車を要請してください。呼吸がある場合でも、首や背中を不用意に動かさず、救急隊の指示に従います。

すぐに119番通報が必要な症状

次の症状がある場合は、脳震盪だけでなく、重い頭部外傷の可能性があります。救急車を呼び、本人をひとりにしないでください。

  • 意識を失った、または呼びかけても反応しにくい
  • 眠り込んで起こしにくい、意識がだんだん悪くなる
  • 繰り返し吐く
  • 強い頭痛が続く、または時間とともに悪化する
  • けいれんが起きた
  • 手足の力が入らない、しびれがある、歩けない
  • ろれつが回らない、受け答えが明らかにおかしい
  • 瞳の大きさが左右で違う、見え方がおかしい
  • 耳や鼻から血液や透明な液体が出る
  • 首の強い痛みがある
  • 本人の状態が急に悪くなった

救急車を待つ間は、飲食物や薬を無理に与えず、本人の意識と呼吸を確認します。症状が軽くても判断に迷う場合は、地域の救急相談窓口や医療機関に相談してください。

脳震盪の疑いがある日にしてはいけないこと

症状が残っている状態で運動を続けると、回復の遅れや再受傷につながるおそれがあります。次の対応は避けてください。

  • 本人の希望だけで練習や試合に復帰させる
  • 走る、ヘディング、ボールを蹴るなどの運動を試す
  • 症状を隠すように指示する
  • ひとりで帰宅させる、ひとりで過ごさせる
  • 症状を確認せず、鎮痛薬などで症状を抑えてプレーさせる
  • 「寝れば治る」と決めつけて、悪化の確認をしない

睡眠そのものを一律に禁止する必要はありませんが、受診先から指示がある場合は従ってください。眠らせるかどうかよりも、意識が悪化していないか、起こしたときに普段どおり反応するかを確認できる体制が重要です。

練習や試合に戻るのはいつか

症状がなくなっただけで、すぐに通常練習へ戻してはいけません。医療機関で評価を受け、段階的な復帰について指示を受けてください。

一般的には、日常生活で症状が出ないことを確認したうえで、軽い運動から始め、問題がなければ少しずつ運動量や接触の程度を上げます。各段階で頭痛、めまい、吐き気、ぼんやりする感じなどが出た場合は、その段階を中止して休み、復帰方法を医療者に確認します。

復帰の判断は、選手本人や指導者だけで行わないことが大切です。学校生活で集中しにくい、画面を見ると頭痛がする、疲れやすいなどの症状が残っている場合も、サッカーへの復帰を急がないでください。

指導者と保護者が事前に決めておくこと

事故が起きたときに迷わないよう、チームでは次の内容をあらかじめ決めておくと対応しやすくなります。

  • 脳震盪が疑われた選手を誰がプレーから外すか
  • 保護者への連絡担当者と緊急連絡先
  • 救急車を呼ぶ基準と、会場までの案内方法
  • 受傷時刻、症状、本人の受け答えを記録する方法
  • 医療機関の診察を受けるまで再出場させないルール
  • 復帰時に、誰の許可とどのような段階を必要とするか

ジュニア選手は症状をうまく説明できなかったり、試合に出続けたい気持ちから申告を控えたりすることがあります。本人の申告を尊重しつつ、周囲が「普段と違う」と感じた場合も安全を優先してプレーを止めてください。

まとめ

ジュニアサッカーで脳震盪が疑われる症状が出たら、意識を失っていなくても直ちにプレーから外し、その日の再出場をさせないことが基本です。強い頭痛、繰り返す嘔吐、意識の悪化、けいれん、手足のまひなどがあれば119番通報し、症状が軽くても医療機関へ相談してください。

練習や試合への復帰は、症状がなくなったことだけを基準にせず、医療者の評価と段階的な復帰の手順に従います。