ジュニアサッカーで脳震盪(のうしんとう)を起こした場合、症状が残ったまま練習へ戻ることはできません。まず医療機関などで評価を受け、日常生活や学習に戻ったうえで、症状が出ないことを確かめながら段階的に運動量を上げます。各段階は原則として少なくとも24時間空け、症状が戻ったら中止して前の段階に戻ります。
意識を失っていなくても脳震盪の可能性はあります。頭痛、めまい、吐き気、ぼんやりする、記憶があいまい、光や音がつらい、反応が遅いなどがあれば、本人や指導者だけで復帰を判断しないでください。
練習復帰の基本基準は「症状がなく、段階を進められること」
練習復帰の基準は、単に数日休むことではありません。安静時と日常生活で症状がなく、学校生活などにも戻れてから、軽い運動から順番に再開できることが重要です。
子どもは症状をうまく伝えられなかったり、「試合に出たい」と我慢したりすることがあります。そのため、保護者、指導者、医療者が症状の変化を共有し、本人の自己申告だけに頼らない確認が必要です。
練習へ戻るまでの6段階
以下は、脳震盪後のスポーツ復帰で一般的に使われる段階的な進め方です。具体的な開始時期や各段階の内容は、診察した医療者の指示を優先してください。
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日常生活に戻る段階
休息を取りながら、症状が悪化しない範囲で通常の生活や学校生活を行います。学習で症状が強くなる場合は、学校側と課題量や時間を調整します。 -
軽い有酸素運動
ゆっくり歩く、軽い自転車運動など、心拍数を少し上げる運動を行います。ボールを使った練習やダッシュはまだ行いません。 -
サッカーに近い運動を一部行う
軽いランニング、個人でのボールタッチ、簡単なドリブルなどを行います。頭への衝撃や接触は避けます。 -
負荷の高い、接触を伴わない練習
スプリント、方向転換、パスやシュートなど、より強い運動を行います。ただし、相手との競り合いやヘディングなど、頭部への衝撃が予想される動作は避けます。 -
接触を含む練習
医療者の許可を得たうえで、通常に近い練習へ進みます。接触プレー、競り合い、ヘディングなどは、この段階まで急いで行わないことが大切です。 -
試合復帰
練習中や練習後、翌日まで症状が出ないことを確認してから、試合への復帰を検討します。
各段階は原則として少なくとも24時間空けます。段階を進めると症状が出たり強くなったりした場合は、その日の運動を中止し、症状が出なかった段階まで戻って再開します。
症状が出たときは、復帰を進めず中止する
運動中または運動後に次のような症状が出た場合は、その日の練習をやめます。
- 頭痛や頭が重い感じ
- めまい、ふらつき、吐き気
- ぼんやりする、反応が遅い、集中できない
- 記憶があいまいになる
- 光や音がつらくなる
- 視界がぼやける、二重に見える
- 疲れや眠気が急に強くなる
- 普段より irritability(いらだち)や不安が強くなる
症状が運動中にはなくても、運動後数時間から翌日に悪化することがあります。復帰段階を進めた日は、帰宅後や翌朝の状態も確認してください。
脳震盪の当日に練習や試合へ戻ってはいけない理由
脳震盪が疑われる選手は、当日に練習や試合へ戻さないのが基本です。症状が一時的に軽くなっても、運動や再度の衝撃で悪化する可能性があるためです。
特に、頭痛やめまいを隠してプレーを続けると、状態の変化を見逃すおそれがあります。指導者は「本人が大丈夫と言っている」「短時間なら問題ない」と判断せず、その日はプレーから外し、保護者へ連絡して医療機関への相談につなげます。
すぐに救急受診が必要な症状
次の症状がある場合は、通常の練習復帰の判断をせず、救急相談や救急受診を検討してください。症状が強い、急に悪化している、判断に迷う場合も無理に様子を見ないでください。
- 繰り返し吐く
- 強い頭痛、または時間とともに悪化する頭痛
- 意識を失う、起こしても反応が悪い
- けいれんがある
- ろれつが回らない、片側の手足に力が入りにくい
- 歩けない、強くふらつく
- 瞳の大きさが左右で違う、視力の異常が強い
- 混乱が強い、普段と明らかに様子が違う
- 首の強い痛みやしびれがある
頭部を打った直後に意識を失わなかった場合でも、脳震盪を否定することはできません。症状が軽く見えても、競技復帰については小児科、脳神経外科、救急科、スポーツ整形外科などに相談してください。
保護者と指導者が確認する復帰チェック
練習復帰を決める前に、次の項目を順番に確認します。
- 頭部を打った日時、場所、プレー中の様子、意識消失の有無を記録する。
- 頭痛、めまい、吐き気、記憶、視覚、眠気、気分の変化を本人に確認する。
- 学校生活や宿題で症状が悪化しないか確認する。
- 医療機関で診察を受け、運動再開について指示を受ける。
- 運動を再開した日と段階、運動後や翌日の症状を記録する。
- 症状が出なければ次の段階へ進み、症状が出れば中止して医療者へ相談する。
チーム内では、保護者だけでなく監督、コーチ、トレーナー、学校の担当者にも復帰段階を伝えます。特に、ヘディングや競り合いをいつ再開できるかは、通常のランニング再開とは別に確認してください。
何日で復帰できるかは一律に決められない
脳震盪からの復帰日数は、年齢、症状の種類や強さ、症状が続いた期間、過去の脳震盪、学校生活への影響などで変わります。そのため、「2日休めば復帰できる」「1週間で必ず戻れる」と一律には言えません。
段階を少なくとも24時間ずつ進めるだけでも、全段階を終えるには複数日かかります。途中で症状が出れば日数は延びます。復帰を早めることより、症状を再発させずに段階を完了することを優先してください。
ジュニアサッカーの練習復帰で覚えておくこと
脳震盪が疑われたら当日はプレーに戻さず、医療機関で評価を受ける。その後、日常生活と学習に戻り、症状がない状態で軽い運動から始め、各段階を少なくとも24時間空けて進めます。
運動中や翌日に症状が戻った場合は、復帰を中止して前の段階に戻ります。試合や接触プレーへの復帰は、保護者や指導者だけで決めず、診察した医療者の許可を得てからにしてください。







