ジュニアサッカーのグロインペイン対策は、練習量を急に増やさないこと、股関節まわりを動かしてからプレーすること、内もも・お尻・体幹を無理なく鍛えることが基本です。痛みが出ている場合は、ストレッチや練習を続けるだけで改善しないことがあるため、まず運動量を下げ、必要に応じて整形外科やスポーツに詳しい医療機関へ相談します。
グロインペインとは
グロインペインは、サッカーなどの運動中や運動後に、脚の付け根から内もも、下腹部周辺に痛みが出る状態の総称です。特定の一つの病名ではなく、筋肉や腱、股関節、骨盤周辺など複数の原因が関係することがあります。
ジュニア選手では、成長期の体の変化に加えて、キック、ダッシュ、切り返し、片脚での着地などが繰り返されます。そのため、痛みの場所だけで原因を決めつけず、痛みが出る動作や練習量の変化も確認することが大切です。
ジュニアサッカーのグロインペイン対策で最初に行うこと
痛みがある選手は、予防トレーニングを始める前に、痛みを強める練習を減らしてください。痛みを我慢してキックやダッシュを続けると、原因の確認が遅れたり、復帰まで長引いたりする可能性があります。
- 痛みが出るキック、ダッシュ、切り返しを一時的に減らす
- 痛みが出ない範囲で歩行や軽い動きを行う
- 痛みを隠すためにフォームを変えてプレーしない
- 痛みの場所、出る動作、出始めた時期を記録する
- 練習後や翌日に痛みが強くなっていないか確認する
「動いている間は大丈夫だが、練習後や翌日に痛む」「毎回同じ場所が痛む」という場合も、無理を続けず、指導者や保護者に伝えましょう。
痛みを予防するための具体的な対策
練習量を急に増やさない
グロインペイン対策では、練習量や強度を急に増やさないことが重要です。試合が続く時期、チーム移籍後、ポジション変更後、長期休み明けは、走る量やキック数が増えやすいため注意します。
特に、次の変化が重なるときは負荷を調整します。
- 練習日数や時間が増えた
- 試合数が増えた
- 人工芝や硬いグラウンドでの活動が増えた
- 急に上の年代の練習へ参加した
- 休み明けに以前と同じ強度へ戻った
練習後だけでなく、翌朝の痛みや歩き方も確認してください。翌日に痛みが残る場合は、前回の負荷が本人にとって大きかった可能性があります。
練習前に股関節と全身を動かす
練習前は、止まった状態で長く伸ばすストレッチだけで終わらせず、軽いジョギングや方向転換を含む動きで体を温めます。股関節、骨盤、足首、胸まわりを動かし、サッカーの動作へ段階的につなげます。
たとえば、次のような流れです。
- 軽いジョギングで体温を上げる。
- 股関節を前後・左右に動かす。
- 軽いスキップやサイドステップを行う。
- ゆっくりした加速と減速を行う。
- 痛みがなければ、短いダッシュやボールを使った動きへ進む。
準備運動中に股関節や内ももへ痛みが出る場合は、その動きを中止してください。痛みを伸ばして取ろうとして、強い反動をつけたり、無理に開脚したりするのは避けます。
内もも・お尻・体幹を無理なく鍛える
サッカーでは、脚を閉じる内ももの筋肉、骨盤を支えるお尻の筋肉、体の軸を保つ体幹が使われます。これらを少しずつ鍛えることは、股関節まわりの動きを安定させる対策になります。
痛みがない、または医療者や指導者から実施を認められている場合は、次のような種目を候補にできます。
- ヒップリフト
- 自重スクワット
- 横向きで行う股関節の外側のトレーニング
- 軽いサイドステップ
- 膝をついた状態から始める内もものトレーニング
- 短時間のフロントプランク
回数や負荷は、学年、体格、経験、痛みの有無によって変わります。最初から限界まで行わず、姿勢を保てる範囲で始めてください。内ももや股関節に痛みが出る場合は、その種目を中止します。
キックと切り返しのフォームを確認する
強いキックや急な切り返しでは、股関節と骨盤に大きな動きが生じます。痛みを避けるために体をかばっていると、片側へ負担が偏ることもあります。
指導者には、次の点を確認してもらいます。
- キックの後に体が大きく反り返っていないか
- 軸足の膝やつま先が不自然に内側へ入っていないか
- 切り返しで股関節だけを急にひねっていないか
- 痛みを避けるために歩幅や走り方が変わっていないか
- 左右で動き方に大きな差がないか
フォームだけが原因とは限りません。フォームを直せば痛みを我慢して練習できるという意味ではなく、痛みの確認と負荷の調整を行ったうえで動きを見直します。
休養、睡眠、食事を確保する
ジュニア選手は、練習だけでなく学校生活や他のスポーツでも体を使っています。休養が足りない状態で練習を重ねると、疲労が抜けないまま股関節周辺へ負担がかかります。
練習日と休養日を把握し、睡眠時間や食事量が不足していないかも確認してください。体重を減らす目的で食事を制限する場合は、成長期の健康に関わるため、保護者や医療者、栄養の専門家へ相談が必要です。
痛みがあるときに避けたい対応
次の対応は、グロインペインを長引かせるおそれがあります。
- 痛み止めで症状を隠して通常練習を続ける
- 痛い場所を強く押したり、無理に伸ばしたりする
- 痛みがある側をかばいながらダッシュやキックを続ける
- インターネットで見つけた運動を、原因を確認せずに行う
- 一度痛みが軽くなっただけで、すぐに全力練習へ戻る
運動中に痛みが軽くても、終了後や翌日に悪化することがあります。復帰の判断は、その場の感覚だけでなく、練習後から翌日までの状態を含めて行います。
医療機関へ相談したほうがよい症状
次のような場合は、練習を中止または大きく減らし、整形外科などの医療機関へ相談してください。
- 歩く、階段を上る、寝返りを打つだけでも痛い
- 急に強い痛みが出た
- 腫れ、あざ、熱感、明らかな力の入りにくさがある
- 股関節を動かすと強く痛む
- 数日休んでも改善しない
- 練習のたびに同じ場所が痛む
- 痛みで走り方やキックの動きが変わっている
- 発熱や強い倦怠感など、運動以外の症状もある
成長期の股関節や骨盤周辺には、筋肉以外の原因が隠れていることもあります。痛みの場所や強さだけで「単なる筋肉痛」と判断しないようにしましょう。
練習へ戻るときの確認方法
痛みが落ち着いてきても、いきなり試合へ戻るのではなく、動きを段階的に増やします。次の動作を行い、痛みが出ないか、動作後や翌日に悪化しないかを確認します。
- 歩行と軽いジョギングを行う。
- 前後の走行と軽いサイドステップを行う。
- 短い距離の加速と減速を行う。
- 軽いボールタッチと短いパスを行う。
- キックの強さと距離を少しずつ上げる。
- 切り返しや対人練習へ段階的に進む。
- 練習後と翌日の状態を確認してから、時間や強度を増やす。
どの段階で復帰できるかは、原因や痛みの程度によって異なります。痛みが戻った場合は一つ前の段階へ戻し、医療者や指導者に相談してください。
家庭とチームで確認するポイント
選手本人だけでなく、保護者と指導者が痛みの情報を共有すると、無理な練習再開を防ぎやすくなります。
- いつから痛みがあるか
- 痛む場所は左右どちらか、どの範囲か
- キック、ダッシュ、切り返しのどれで痛むか
- 練習中、練習後、翌日のどの時点で痛むか
- 最近、練習量や試合数が増えていないか
- 痛みによって走り方やキックが変わっていないか
グロインペイン対策の第一歩は、痛みを我慢して続けることではありません。負荷を調整し、準備運動と段階的な筋力づくりを行い、痛みが続く場合は早めに原因を確認することが、ジュニア選手の安全な復帰につながります。







